
ヒップホップと高級時計。どちらも“成功”と“自己表現”を体現するカルチャーの象徴です。舐達麻は、アウトローな詩と生き方で支持を集める日本屈指のリアルラッパー。その腕元を飾るのは、世界的に愛され続けるロレックス。ファッションでも音楽でも「本物」にこだわる彼らは、なぜロレックスを選ぶのか?その背景を追うことで、時計が持つストリートでの意味も見えてきます。
目次
ストリートから頂点へ──舐達麻のリアルなライフスタイルとファッション

埼玉県熊谷市を拠点に活動するヒップホップグループ「舐達麻(なめだるま)」は、2018年末にリリースされたシングル「Life Stash」「Floatin’」のMVで一躍注目を集めました。ローファイでチルなトラックに、郊外のロードサイド=日常的な国道沿いの過酷な現実を刻むハードボイルドなリリックが、日本語ラップに新風を吹き込みました。そのスタイルは、舐達麻を若者にとってカリスマ的な存在へと押し上げました。
彼らの音楽や生き様には虚飾がなく、まさに地元で培ったストリートライフそのもの。全身に刻まれたタトゥー、独自のスラング、大麻への言及など、すべてが「リアル」を追求するヒップホップの精神を体現しています。
ファッションにおいても、舐達麻は独自の美学を貫いています。彼らが取り入れているのはアメリカ型のヒップホップファッションではなく、日本の伝統的な不良文化“ヤンキー”を現代風にアップデートしたスタイルです。パンチパーマや極太の喜平ネックレスといった要素に、自身のブランド「BUDSPOOL(バッズプール)」のウェアを組み合わせた姿は、「ヤンキーモダン」とも評される独自の世界観を築いています。
洗練されたオーバーサイズの古着に武骨なアクセサリーをミックスする彼らの着こなしには、「ストリートで生きる誇り」がにじみ出ています。こうしたリアルなライフスタイルと美学へのこだわりは、彼らが選ぶ時計にも色濃く反映されているのです。
ヒップホップとロレックス──ブランド哲学とストリートの親和性

高級腕時計の代名詞・ロレックス(Rolex)は、一見すると保守的なラグジュアリーブランドですが、1970年代以降のヒップホップ文化と深い関係を築いてきました。
1980年代、Run-DMCやPublic Enemyらがファッションに高級志向を持ち込み、ロレックスをあえて身につけたことが流行の始まりです。中でも金無垢のロレックス・デイデイト(通称「プレジデント」)は、ヒップホップの「ゴールドスタンダード」とも言える象徴的存在となりました。これは、腕時計が「何者で、何を成し遂げたか」を示すステータスシンボルとして機能するようになった象徴的な出来事です。
その背景から、ロレックスはヒップホップ界で特別な存在となり続けています。派手なジュエリーや改造車と並び、ロレックスの所有は「成功者の証」として世界中で広く認識されています。さらに、近年では中古市場における値上がりや資産価値の高さから、「カッコよくて価値も落ちにくい」ロレックスは、ストリートで育ったラッパーたちにとって理想的な存在になっています。
舐達麻のメンバーたちもまた、ロレックスに強く魅かれており、ブランドが掲げる「不変の価値」「最高峰の品質」と、彼らの「自己表現」「成功欲求」とが見事にシンクロしているように見えます。
メンバー別:舐達麻が選ぶロレックスのモデルと特徴

では、実際に舐達麻のメンバーたちはどんなロレックスを着用しているのでしょうか。メディアからの推定情報にはなりますが、確認されているモデルと価格帯、特徴を以下にまとめます。
| メンバー | モデル(型番) | 価格帯 | デザインの特徴 |
|---|---|---|---|
| BADSAIKUSH | デイデイト36(Ref.18238など) | 中古約150~200万円 | 金無垢ケース&プレジデントブレス、シャンパン文字盤、曜日表示付き |
| G-PLANTS | デイトジャスト41(Ref.126331) | 中古約250万円前後 | エバーローズゴールド×ステンレスのコンビ、ギザベゼル、ブラウン文字盤 |
| DELTA9KID | デイデイト36(詳細不明、贈与品) | 推定150~200万円前後 | BADSAIKUSHから譲渡された金無垢モデルと推測される |
BADSAIKUSHは金無垢のデイデイト36を愛用しており、G-PLANTSは落ち着きのあるエバーローズゴールドのコンビモデルを着用。DELTA9KIDには、BADSAIKUSHが過去に使用していたロレックスを贈ったとされ、そのストーリー性がファンの間でも話題になっています。
さらにBADSAIKUSHは、パテックフィリップのノーチラス5712R(定価約838万円)を着用している姿もMVで確認されており、その時計愛の本気度がうかがえます。
SNSやMVで映える腕元──ファンの憧れと注目度


舐達麻の時計選びは、ファンにとっても大きな注目ポイントです。MVやライブ映像で手元が映るたび、「今着けてるロレックスは?」「どのモデル?」とSNSがざわつきます。
とくに2023年末のディストラックでは他のラッパーが「舐達麻の腕時計がエグい」と言及し、ネット上でのモデル特定合戦が勃発。あるファンブログでは各メンバーの時計の価格を調査し、「そりゃリリックで dis りたくもなる(笑)」と話題になりました。
InstagramやTikTokでは、彼らの着用するロレックスに関連した投稿が多数あり、「バダサイと同じモデルが欲しい」と語る若者も急増中。DELTA9KIDの極太喜平ネックレスの銘柄を知りたいという質問がYahoo!知恵袋に投稿されるなど、ファッション全体に注目が集まっています。
なぜ若者は舐達麻とロレックスに惹かれるのか
なぜ“舐達麻×ロレックス”がこれほど若者を魅了するのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
①リアルで破天荒な生き様への共感
舐達麻は、社会のレールを外れながらも信念を貫き成功を掴んだ存在です。彼らが腕に巻くロレックスは「夢を叶えた証」として映り、若者の憧れの象徴になっています。
②唯一無二のスタイル
ジャージやスウェットにロレックスを合わせる舐達麻の着こなしは、一歩間違えばチグハグですが、彼らの存在感とセンスによって唯一無二のスタイルへと昇華しています。そのバランス感覚が多くの若者にインスピレーションを与えているのです。
③「本物志向」と「資産価値」への関心
スマートウォッチ全盛の時代において、アナログで機械式のロレックスは若者にとって新鮮で本物志向の象徴。また、資産価値という現実的な側面も魅力となり、「かっこいい貯金箱」としての機能も期待されています。
まとめ

舐達麻とロレックス。一見ミスマッチに見えるこの組み合わせは、どちらも若者にとって「リアルで成功した者」の象徴です。彼らがロレックスを腕に巻く姿は、ヒップホップの美学とラグジュアリーの融合を体現しており、今後のストリート×高級時計シーンに新たなムーブメントをもたらす存在といえるでしょう。
【参考】舐達麻のGQ JAPAN記事gqjapan.jp;Chrono24マガジンchrono24.jp;ファン調査ブログmqa.jpmqa.jp 他